【牛肉を徹底解説・通販で取り寄せるブランド和牛肉・その1】今日も匍匐前進
こんにちは! 「今日も匍匐前進」管理人&食品化学技術者のスガタです。
食材としては高価ですが、今や、食べたいときに通販で簡単に和牛のブランド牛が注文できる時代です。
ご自宅用はもちろんのこと、高級ギフトとして、お中元、お歳暮でも喜ばれること間違いなしなのですが、、、。
米沢牛、松阪牛、宮崎牛、但馬牛、三田和牛、神戸牛など様々なブランドがありますが、それぞれのブランドでの専門店や出荷頭数の少ない希少ブランド牛などをお取り扱いのお店があります。
ギフトに使いたいとか自宅で和牛のブランド牛の焼き肉を食べたいけど、通販だったらどこから買ったらよいか迷われている方へも居られると思います。
そこで、通販で買える特選和牛の特集を作ってみました。。。
こちらの【通販で取り寄せる特選和牛肉・その1】では、米沢牛、松阪牛、宮崎牛ブランドの専門店4店をご紹介します。
また、【通販で取り寄せる特選和牛肉・その2】では、但馬牛、三田和牛、神戸牛ブランドの専門店を4店をご紹介します。
お店の紹介の前に先ずは、和牛の種類や和牛が醸し出す甘い香りについてちょっと記載したいと思います。
こちらの記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
和牛や国産牛、代表的な海外種の種類
和牛の品種(肉専用種)
ここでは生産者が霜降り和牛に肥育するための和牛4品種についてまとめました。
黒毛和種
黒毛和種は、全国の和牛の飼養頭数で約9割がこの品種で占められているそうです。
素牛としても有名な但馬牛は、1944年に黒毛和種に統一されています。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
黒毛和種の特徴は、
・黒の単色で、毛・角・蹄・粘膜などがいずれも黒く、毛先が褐色。
・脂肪が筋線維に細かく沈着した極上の「霜降り肉」を作り出す品種です。
褐毛和種
褐毛和種は、飼養頭数が黒毛和種に次いで多く、主産地は熊本県と高知県ですが、東北地方や北海道でも飼育されているそうです。
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画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
褐毛和種の特徴は、
・暑さに強く粗飼料を効率よく食べて、性質もおとなしいのが特徴。
・肉質も黒毛和種に近いそうです。
日本短角種
日本短角種の主産地は岩手県、青森県、秋田県、北海道でも飼養されているそうです。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
日本短角種の特徴は、
・毛色は褐色で濃淡が個体ごとに様々な品種のようです。
・骨太で体格がよく、肉質は筋線維が粗く、脂肪交雑は黒毛和種に比べて劣るようですが、手間がかからず成長が早いので放牧向きだそうです。
無角和種
無角和種主産地は山口県で、比較的少数品種だそうです。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
・和牛の中では比較的早くから肉用に重点をおいて改良が進められ、成長が早く、飼料の利用性も良好な品種。
・皮下脂肪が厚くなりやすく、脂肪交雑(霜降り)や肉質(肉線維)のきめなど黒毛和種には及ばないそうです。
和牛を除く国産牛
その他肉用の国産牛としては、
交雑種
・異なった品種間での交配し、交雑によって生まれた子を交雑種と言います。
・一般的にホルスタイン種の雌牛に黒毛和種の雄牛を掛け合わが多いようです。
何故、交配種を生産するかと言うと…。
交雑種は和牛に比べて育てやすく、短期間で出荷できるなど、生産コストの引き下げ、生産量の増加などの利点が理由として挙げられます。
米沢牛専門店【さかの】さん・米沢牛ロース【しゃぶしゃぶ用】
乳用種
・ホルスタイン種の「雄牛」を去勢して、穀物を主にした飼料で生後20ヶ月前後まで肥育し、出荷するのが一般的だそうです。
豚でもそうですが、去勢しないと「雄臭」が肉に付いてしまいます。
これを「ボア臭」とも言いますが、スカトールやインドールといった臭いにおい成分が肉に蓄積されてしまいます。
ちなみに、スカトールはスカンクが放つ糞臭から発見されてその名前が付いています。
経産牛
・分娩を経験した「雌牛」さん。
・出産を数回繰り返した牛の肉質は比較的硬く、風味も落ちるようです。
・ホルスタイン種の場合などは、お肉が乳臭いと感じられる方も居るようです。。。
・そのため、肉としては安価に供給されることが多いです。
海外での肉専用種は?
アバディーン・アンガス(Aberdeen Angus)
北スコットランド原産の世界三大肉用種の一品種。
アメリカの代表的な牛の品種でもあります。
こちらの品種は、日本で肥育しても当然「和牛」とは言えません。
「国産牛肉」としての取り扱いになります。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
アバディーン・アンガスの特徴は、
・黒毛で無角、脚は短く体高は低く、丸みをおびた典型的な肉用の品種。
・通称「ブラック・アンガス」。
・早熟で、筋肉内の脂肪交雑形質に優れており、外国種の中で最も優れた品種として評価されているそうです。
スーパーでは、お肉が和牛の半額位で売られていますよね。
BSEの問題で、米国から輸入できないことがありますが、、、。
主に、牛丼などに使用される牛バラ肉の一部位のショートプレートは、そもそも米国人が食べない部位を日本に持ってきたお肉です。
※ショートプレートは米国での呼び名で日本ではソトモモ、バラ肉はショートリブとか7つの部分に分けて呼び名がそれぞれにあります。
彼らは、「こんな脂の多い肉など食べられるか!」であまり食べていなかったのです。
最近は、日本向けに霜降りに肥育したブラック・アンガスのお肉を見かけるようにもなってきました。
で、実はこのアバディーン・アンガス種は大正時代に山口県で和牛と交配して無角防長という品種になり、
さらに昭和時代に無角防長種と和牛を交配して無角和種になったのです。。。
その他の海外種
アバディーン・アンガス以外でよく流通しているのは、、、。
ショートホーン
・イングランド東北部原産で、毛色は赤褐色など様々な個体が居るようです。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
・角は短く側方前方に伸びて、脚が短くて体高は低くいのが特徴。
・成長が早く、性格も温順なため飼いやすい。
・また、肉質もよい。
ヘレフォード
・イングランド・ヘレフォード州が原産のヘレフォード。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
・強健で、暑さ寒さ、飼料など厳しい自然環境にもよく適応し、性格も温和なため、世界各地で飼育されているそうです。
・毛色は大部分赤褐色で、体下部や頭部は白。
・厚い皮下脂肪がつきやすく、肉のきめはやや粗く、脂肪交雑形質は比較的低い。

私は、仕事で和牛とブラック・アンガスやショートホーン、ヘレフォード種を食べ比べてみたことがありますが、
ブラック・アンガスは肥育日数の違いで美味しさに差が…
ショートホーンは、肥育日数の違いがあってもそこそこ美味しかったです。
しかし、ヘレフォードはとにかく肉質がパサパサして美味しくなかったです…(笑)。
マレーグレイ
・マレーグレイは、オーストラリア原産の肉用種です。
画像出典: 財団法人日本食肉消費総合センター『新・食肉がわかる本』
・マレーグレイは、1965年にショートホーンとアバディーン・アンガス種から作られた新品種として登録されました。
・日本の業界では肥育素牛として輸入されています。
※肥育素牛とは、肥育して育てる前の子牛のことで、繁殖用としての「素牛」が別にあります。
ちなみに、オーストラリアで肥育されている代表的な肉用牛の品種は、、、。
アンガスやヘレフォード種、その他にブラーマン種、サンタガトガール種というのも肥育されています。
で、オーストラリアではよくご存じのように牧草で肥育して「グラスフェッド」と呼ばれる牛肉になります。
一方、穀物飼料で肥育した牛肉は「グレテンフェッド」と呼びます。
輸入牛肉の種類
「グラスフェッド」とか「グレテンフェッド」が出てきたのでついでに輸入牛肉の種類を説明すると、、、。
牛の品種で区分けするのではなく、肥育の餌の違いで言っています。
グラスフェッドビーフ
・牧草を与えて放牧で飼育した牛肉です。
・グレインフェッドに比べて脂肪が少なく、赤身が多く、やや硬い。肉にやや牧草臭(グラス臭)があります。
オーストラリア産グレインフェッドビーフ
最近では、オーストラリア産ビーフでもグレテンフェッドで肥育した牛肉が流通するようになりましたね。
【ショートグレイン】
・穀物肥育期間 100~120日、出荷時体重 約650kg
【ミドルグレイン】
・穀物肥育期間 150~180日、出荷時体重 約700kg
【ロンググレイン】
・穀物肥育期間 200日~、出荷時体重 約750kg
各穀物肥育期間に20~30日の差があるのは、出荷時の体重を揃えるために個体差があるからです。
アメリカ産ビーフ
・ほとんどががグレイン(穀物肥育期間 約90~120日)です。
・米国での穀物飼料は、小麦ではなくトウモロコシ(コーン)が主体です。
ちなみに、米国産では、BSE問題で日本側での輸入条件があります。
①SRM(特定危険部位)除去
②生後20ヵ月齢以下の牛
狂牛病は怖いですからね…。。。
肉専用種の牛が牛肉になるまでは?
国産牛の一般的な事例で、ご説明します。
「特選松阪牛専門店やまと」さんのすき焼き用松阪牛A5 サーロイン
種付けから出生まで
・妊娠期間は280~285日です。
・和牛は約30kg、ホルスタインは約40kgの赤ちゃんが生まれます。
・お母さん牛の分娩間隔は12ヶ月(年1回)。
出生から素牛まで
・生後2~3ヵ月で雄は去勢します。
・生後4ヵ月で離乳です。
・育成期間は、和牛で10ヶ月、ホルスタインで6ヶ月です。
・この育成期間で、和牛の体重はおよそ285kg、ホルスタインで280kgになります。
肥育期間
肥育用の素牛となった子牛は、、、。
・肥育期間は、和牛で19ヶ月、ホルスタインで13ヶ月です。
・肥育前半には、骨・筋肉を発達させるため、繊維の多い干草などの粗飼料を与えます。
・肥育後半では、脂肪を蓄積させるため、トウモロコシ、麦類など濃厚配合飼料を与えます。
・和牛の体重は780kg、ホルスタインで750kg位まで肥育します。
「松阪牛専門店 松阪牛.net」さんの<極上リブロース>すき焼き用 A4等級
出荷
・出荷時の牛の月齢は、和牛で29ヶ月、ホルスタインで19ヶ月になります。
生産者の皆さんが手塩に掛けて育てているのですよ。。。
で、精肉になって店頭に並ぶのには、、、。
枝肉
生体の牛さんはと畜されます。。。
仕方ないことです。。。
で、最初に枝肉になります。
と畜後、放血、剥皮、頭・足・尾・内臓を摘出した骨付き肉の状態です。
映画などでたまに見かける大きな冷凍室の中にぶら下がっているのが枝肉です。
和牛の生体で、780Kgあったのが枝肉では468kg(60%)になります。
部分肉
次に、枝肉を部位ごとに分離、除骨し、血合いなど汚染部を除去、脂肪を整形して部分肉となります。
こちらの画像は、黒毛和牛リブロースの原木です。
国によって部位の規格は違いますが、大体こんな感じに整えられます。
裏側には背脂肪が付いていて、1~2cm程度の厚さになるようにトリミングします。
これを原木と呼びます。
ロースやモモ等、様々な部位に分けられますが、ここで780kgの和牛が約332kg(43%)になってしまいます。
で、精肉店やレストランにはこの部分肉が納品されます。
精肉
部分肉をステーキ用とかすき焼き用、しゃぶしゃぶ用、ハンバーグ用などの用途別で厚切り・うす切り・挽肉などに加工した肉を精肉と呼びます。
ここで、780kgの和牛が約265kg(34%)になってしまいます。。。
和牛で29ヶ月間育てた牛の約1/3しか食肉として残りません。
ですから、お肉のお値段は高いのです…。
生体で高値の付いたブランド牛はなおさらです・・・。
米沢牛・松阪牛・宮崎牛専門店のご紹介
【通販で取り寄せる特選和牛肉・その1】では、米沢牛・松阪牛・宮崎牛を通販でお取り扱いの専門店4店をご紹介いたします。
何と言っても霜降り牛肉は、やわらかくてジューシー、食べた後に口の中に和牛肉の香りが残り「牛肉を食べたぞ!!」という満足感が残りますよね(^^)。
⇒【牛肉の香りを徹底解説・通販で取り寄せるブランド和牛肉・その2】