【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

 

 

こんにちは! 「今日も匍匐前進」管理人&食品化学技術者のスガタです。

 

 

そもそもは肉の保存食として豚肉と天然塩だけのシンプルな原料で伝統的製法で作られた熟成生ハム、その風味は芸術品と言っても過言ではないこだわり製法の産物です。

 

その1のページでは、基本的な原料肉となる豚とお肉の部位の違い、製法の違いなどと、科学的に見た伝統的な長期熟成生ハム作りのノウハウなどについての内容です。

 

その2のページでは、「おいしさの芸術品」とも言うべき長期熟成生ハム「スペイン産ハモンセラーノとハモンイベリコ」、「イタリア産プロシート(プロシュット)・クルード」の風味(香り成分と味成分)を科学的に検証し、「驚くべきおいしさの秘密」を徹底解明したお話となります。

 

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その2】今日も匍匐前進

 

 

また、通販で直輸入品の生ハム・ワイン・チーズ・グルメミートを購入できる「世界各地の珍しいグルメ食肉の通販・グルメソムリエ」さんの幾つかの関連商品をご紹介をします。

 

「グルメソムリエ」さんは商品を単に輸入販売される会社ではなく、生ハム作りの現地メーカーの原料、製造方法などを徹底的に調査した上で、安心、安全な特選食品を輸入販売されています。

 

 

こちらの記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

 

 

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

◇「グルメソムリエ」さんの生ハム生活セットの展示◇

 

 

 

そもそも生ハムとは…

 

最初にちょっとだけ日本の食品衛生法の区分について

 

日本の食品衛生法の区分で、ご説明しますと、、、

 

自然界に居る微生物…善玉も居れば悪玉菌も…。

 

この法律、皆さんが食中毒などにならないように食肉製品に定められたありがたい基準です。

 

・乾燥食肉製品(水分活性0.87未満)…ビーフジャーキ、ドライドビーフ、サラミソーセージ、カルパスなど
・非加熱食肉製品(水分活性0.95未満)…生ハム
・特定加熱食肉製品…ローストビーフなど
・加熱食肉製品…ハム、ソーセージ、ベーコンなど

 

ということで、「生ハムは非加熱食肉製品」です。

 

水分活性(AW = Water Activity)とは、食品中の自由水の割合を表していて、食品の保存性の指標になっています。

 

純水の水分活性は 1.000です。

 

この値が低いほど食品は乾燥していて、微生物が繁殖または生存できない環境になります。

 

食品では自由水の他に、結合水といって自由に動けない水分があります。これらを足すと全体の水分量になります。

 

要は、食品中に微生物が生存や繁殖するためにどんだけ自由になる水があるの? 的な指標です。

 

なんか、教科書みたいになってしまいましたが…(笑)。

 

次の大阪検疫所食品監視課のホームページに食肉製品の規格基準がわかりやすくまとめられています。

 

ご参考: 大阪検疫所食品監視課のホームページ・食品別の規格基準(食肉製品)

 

 

で、非加の熱食肉製品なのに長期熟成させても腐らない「生ハム」は、すごい昔ながらの保存技術です。

 

ちなみに、加熱食肉製品のハム、ソーセージ、ベーコンなど熱処理されているものは、加熱でたんぱく質が熱変性しているのでなんぼ置いておいても熟成は進みませんよ。(;^_^A

 

これらの食肉製品は10℃以下に保存して、賞味期限内においしく食べましょう!

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

 

次に、スペイン、イタリア、ドイツ、日本の生ハムの違いについてお話します。

 

 

国別の生ハムのうんちく…

 

 

皆さんは、「生ハム」についてよくご存知と思いますが、、、

 

輸入生ハムでは、他にドイツの黒森生ハムなどが有名です。

 

また、ハモンセラーノとプロシュート・デ・パルマに中国の金華ハムが加わって世界三大ハムと呼ばれています。

 

日本でもハムソーメーカーさんが生ハムを製造販売していますが、、、

 

これらの違いをザクッとまとめると、、、。

 

 

原料肉となる豚とお肉の部位の違い

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノ
・白豚の骨付きモモ肉

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンイベリコ
・イベリコ豚の区分はスペイン政府で規定されいてるガイドラインがあります。
・格付けされたイベリコ豚(黒豚)の骨付きモモ肉
・デ・ベジョータ…主にオークのドングリまたは自生植物のみで穀物飼料を与えずに60日以上の放牧肥育。
・放牧期間前から46kg以上に体重が増えたもの。

 

血統100%イベリコ豚…黒いタグ
50~75%イベリコ豚…赤いタグ
デ・セボ・デ・カンポ…放牧しドングリと穀物(豆類含む)で肥育
イベリコ血統50%以上…緑のタグ

 

※放牧して適度に運動をさせることで、モモ肉にサシ(霜降り)が入り、ハモンイベリコは味が濃く特徴的な香りも強いので芳醇な風味があります。

 

画像は「グルメソムリエ」さんから入手したスライスパック品です。

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

◇ハモンイベリコベジョータ44ヶ月熟成生ハムのおいしさをそそるサシ(^^)◇

 

 

関連記事: 【ハモンイベリコベジョータ44ヶ月熟成生ハムのレビュー】今日も匍匐前進

 

 

デ・セボ…穀物肥育(ドングリを食べてない)で、イベリコ血統50%以上…白いタグ

 

ちなみに日本の縄文人は、ドングリを加工してクッキーみたいなものを作って食べていたそうな…。

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・主に白豚の骨付きモモ肉

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・主に白豚のモモ肉やロース肉

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・豚のロース肉が主流、モモ肉

 

 

お肉の部位のお話…

 

ハムといえば、本来は(骨付き)モモ肉を塩漬けにして燻製、加熱処理したものです。

 

生ハムも本場のスペインやイタリアではモモ肉、、、

 

日本は、ロース肉を原料にするほうが多いです。。。

 

モモ肉のほうが肉の味が濃く感じられます。

 

実際、遊離アミノ酸量を測定するとロース肉よりもモモ肉のほうが多いです。

 

 

聞いた話では、日本は第一次世界大戦のときのドイツ人捕虜からハムソー作りを教えてもらったそうですが、

 

現代でも、日本からドイツにハムソー作りのマイスターを目指して留学する人が居ます。

 

日本は、お肉と言えばロース肉、、、柔らかくてステーキから来る高級な響きがあるのでしょう(笑)。

 

だから、「ロースハム」や「ロース生ハム」が主流になってしまったようです。。。

 

 

でも、ロース肉は背部分の長い肉なのでカタ側とモモ側では硬さと柔らかさがずいぶんと違います。

 

モモ側のロース肉は「これでもか!」って言うくらい肩こりしたような硬さのものもあります。

 

カタ側のロース肉はやわらかいので、こちら側の製品に当たればラッキーでしょうか…(笑)。

 

しかしながら、生ハムでは柔らかい肉質のカタ側に塩漬時のピックルが硬いモモ側よりも多く入るので塩味が強くなります。。。

 

 

豚肉でのモモ肉(Ham)は大きくは、内モモ 、外モモのマサ、ランプ、シンタマ、その他スネに別れています。

 

外モモ少し硬いのですが、ここは後ほどお話する生ハムのスライスのところでまた説明します。

 

 

塩漬け方法の違い

 

そもそも保存食として作られたハムソー。。。

 

できるだけ腐らないように微生物から守るため、食塩(NaCl)に漬けますよね。

 

これを塩漬(えんせき)と言います。

 

私の専門は、畜産でも農学でもなく化学だったので、初めて「えんせき」と聞いたとき「塩析」???ナンデ???と思いましたよ(笑)。
これから生ハム作るので「えんせき」しますとかで、、、「宴席」と思う人もいるかも(笑)。

 

で、塩漬方法に違いがあります。

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノとハモンイベリコ
・乾塩法…地中海の天然塩などを「皮をむいたモモ肉」の表面に直接こすり付けます。(※皮付きのメーカーもあります。)
・塩以外の味付けはしません。
・発色剤の亜硝酸塩は使いません。
・なお、仕込むのはほとんどが冬場、、、夏場の暑い時期は、質の良い生ハムを作るために肉の仕入れ、仕込み(塩漬)をしないそうです。

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・乾塩法…地中海の天然塩などを「皮付きのモモ肉」の表面に直接こすり付けます。
・塩以外の味付けはしません。
・発色剤の亜硝酸塩は使いません。

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・乾塩法や塩(NaCl)を溶かしたピックル液に漬け込む湿塩法で作る。
・味付けは塩以外に糖、香辛料を使います。
・発色剤に(亜硝酸Na)を添加します。(※最終的に亜硝酸根は残りません。)

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・精製塩を溶かしたピックル液に漬ける湿塩法などで作るのが主流。
・味付けに、グルタミン酸Na(MSG)やイノシン酸(IN)、還元水あめ等
・発色剤に(亜硝酸Na)を添加します。(※最終的に亜硝酸根は残りません。)

 

※発色剤として使われる亜硝酸塩にはボツリヌス菌という強力な食中毒菌などの殺菌作用があります。

 

 

ここで誤解があってはならないのですが、、、。

 

発癌性が指摘されている亜硝酸塩ですが、食品衛生法の食肉製品の成分規格で、亜硝酸根(イオン)として「製品1kg中に0.070gを超えて含有するものであってはならないと定められています。

 

亜硝酸塩は食肉の加工工程中で消費されて減少しますので、「使用量」ではなく、製品中の「残存量」で制限されています。

 

ご参考: 農林水産省HP・硝酸塩の健康への影響

 

ご参考: 大阪検疫所食品監視課のホームページ・食品別の規格基準(食肉製品)

 

 

おいしさの点では、日本で量産される生ハムは論外で(笑)、、、

 

知り合いのドイツ人のマイスターさんは「日本の生ハムは甘くて塩辛い」と言います。。。(笑)

 

日本の量産型の生ハムは塩漬してから乾燥、スライスしてパック詰めする工程をできるだけ最小限の期間で生産しています。

 

で、水分活性を0.95未満に早く達成させるために肉中の自由水を減らすために還元水飴(糖アルコールの一種)などを使います。

 

還元水飴を使うのは乳酸菌のエサになって乳酸菌などの増殖を抑えるためです。

 

ですから、甘くなります。

 

廉価な生ハムとして召し上がってください。。。

 

 

燻製の有り無なし

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノとハモンイベリコ
・燻製していない生ハムがほとんどですが、スモークした生ハムもあります。

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・燻製していません。(※探せばスモーク品があるかもしれません。)

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・冷燻で燻製します。
・「黒森生ハム」は何度も冷燻しスモークの色と香りが特徴となっているものもあります。

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・冷燻で軽く燻製(ライトスモーク)します。

 

※「ラックスハム」とは、ドイツの生ハム製法を取り入れているので燻製はするが加熱はしないハムのこと。

 

 

乾燥・熟成前の生ハム原木の処理方法の違い

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノとハモンイベリコ
・皮を剥いた骨付きモモ肉が長期熟成生の間に、過度の乾燥を防ぐことと肉の酸化防止にラードを表面に塗ります。
・皮を剥いたモモ肉の場合は塩の入りが良くなるので、少し塩味が濃くなります。
・皮付きの骨付きモモ肉の生ハムも作られているようです。皮の付いていない部分はラードを塗ります。

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・皮付きの骨付きモモ肉なので、皮の付いていない部分などにラードを塗ります。

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・燻製なので、それで表面に皮膜を作ります。

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・量産型のロースハム…軽いスモークで皮膜を作ります…。
・量産型の生ハムは、熟成というよりは食品衛生法をクリアする乾燥工程だけです。

 

 

乾燥・熟成の環境の違い

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノとハモンイベリコ
・自然環境を利用した熟成庫内で20℃前後の温度で乾燥・熟成
※スペイン南部アンダルシア地方シェラネバダ山脈の海抜1700m付近にある生ハム産地で有名な「トレベレス村」は、イタリアのパルマに比べると若干気温が高いようです。
夏場では外気温が30℃前後になることもあるようですが、季節の移り変わりが、おいしい生ハム作りに絶妙に影響を与える好環境のようです。
・夏場でも熟成庫の中は24℃よりも高くならならず、冬場は4℃前後だそうです。
ちなみに、「ハモン」は特に熟成したハム、「セラーノ」は「山や山岳」という意味です。

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・自然環境を利用した熟成庫内で20℃以下の温度で乾燥
・イタリアの生ハムで有名なパルマは、年間を通して雨量がわずかです。
・パルマの年間平均気温は17℃弱です。 ここの降雨量は平均して500 mm弱。
・パルマでの夏場の7月、8月でも平均気温は24~25℃程度。最も乾燥するのは7月で、降雨量はほんの数mm程度。
・生ハム作りに適した環境で、パルマでも極限られた地域が指定されて熟成生ハムが作られています。

 

ちなみに、プロシュート(プロシュット)はイタリア語で「とても乾いた物」という意味です。

 

日本だと「乾き物」みたいな…

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・メーカーにより自然乾燥や人工的な庫内環境であったりとまちまち。

 

○日本の熟成生ハム
・北海道が一応適しています。
・栃木県の廃坑の横穴を利用している会社もあります。

 

 

乾燥・熟成期間の違い

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノ
・熟成期間は、数ヶ月~24ヶ月位

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンイベリコ
・熟成期間は、数ヶ月~44ヶ月

 

○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・熟成期間は、数ヶ月~36ヶ月位

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・熟成期間は、数ヶ月~24ヶ月位

 

※各熟成期間は、私の知る範囲のものです。もっと長いのがあるかもしれません。

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・量産型のロース生ハムに限って言えば、熟成期間というよりは乾燥期間で短い場合は1~2週間だけ…

 

 

スライスするときの違い

 

モモ肉の生ハムは「線維方向に沿って」薄くスライス。

 

ロース肉の生ハムは「線維方向に対して垂直」に薄くスライス。

 

なので、

 

○スペインの長期熟成生ハムのハモンセラーノとハモンイベリコ
○イタリアの長期熟成生ハムのプロシュート
・モモ肉の「線維方向に沿って」薄くスライスします。

 

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◇「グルメソムリエ」さんのスライス実演◇

 

モモ肉の原木やブロックでは、ナイフでスライスするのに線維方向に沿ってナイフを入れることで薄くスライスができます。
また、少し硬めの外モモは噛めば噛むほど味わいが深まります。

 

○ドイツの生ハム(ラックスシンケン)
・原料肉の肉の部位によって

 

○日本の量産型の生ハム(ラックスハム)
・ロースは縦長なので、「線維方向に対して垂直」に薄くスライスします。
・その結果として、スライスした生ハムにしっとり感はあります。

 

伝統的な長期熟成生ハム作りのノウハウを科学的に見ると…

 

熟成の促進には水分が必要

 

これらの結果から、生ハム作りのノウハウで私が注目したのは急激な乾燥を抑えるためにモモ肉の赤身が露出している部分にラードを塗ることです。

 

ラードを塗ることは、肉表面と空気との直接の接触を避け、酸化を防止したり雑菌の付着を防止する役目もありますが、、、

 

先ほどもお話したように、たんぱく質がペプチドやアミノ酸に内在酵素(カテプシンL、カルパイン類など)の働きによって分解するときは加水分解といって水分が必要なんです。

 

それからお肉の熟成では、たんぱく質の筋線維を取り巻いているコラーゲン質の筋内膜や筋周膜膜、スジなどの膠原線維(こうげんせんい)も、コラーゲンが熟成によって分解することで肉の食感が柔らかくなります。

 

これは、レオメーターという破断応力や弾力を測定する機械でも硬い、柔らかいを数値として示すことができますが、、、

 

電子顕微鏡で線維の断面を観察すると、コラーゲン質の膜の濃さが違って見えます。

 

※光学顕微鏡でも観察できる倍率ですが、電子顕微鏡のほうが奥行きが見えるのでこちらをよく使いました。

 

補足として、筋肉は筋線維が細長く繋がっているイメージで、その線維の周りに筋内膜が電気コードの皮膜のように取り巻いています。
さらに、この束が筋周膜膜、さらにその束が筋上膜といった感じでできています。

 

※ところで、「線維」と言う字は、読みは同じですが糸や布の「繊維」と言う字ではないです。。。

 

衛生面での乾燥と熟成の温度帯

 

それから、ゆっくりと進ませる乾燥と熟成の温度帯も衛生面で重要です。

 

たんぱく質を分解する内在酵素が働きやすい温度は衛生面を無視して言うと、酵素が熱で失活しない40℃前後の温度帯で熟成が進みます。

 

しかしながら、この温度帯は多くの微生物も増殖するのに大好きな温度です。

 

なので、塩漬したお肉は塩分が高いとは言え、たちまち腐ってしまいます。

 

そこで、生ハム用の塩漬した肉が腐らずに乾燥・熟成する環境として、後でもお話しますが、乾燥した空気で温度は20℃前後が良いということが経験の積み重ねでノウハウとして蓄積されたのです。

 

※日本の農林規格(JAS)の熟成の基準では0℃~10℃で7日以上

 

冷蔵庫も冷凍庫もない時代、お肉に塩を加えるだけで保存する昔ながらの伝統的な生ハム作りは、人間の知恵の結晶ですごい技(わざ)なのです。

 

ちなみに「生サラミ」などでは、乳酸菌を添加してpHを低くしたり、ヒトに安全な白カビを生やして他の細菌の増殖を抑えたりしているのも有ります。

 

 

すごいのは発色剤の亜硝酸塩を使用していないのに、赤身肉の部分は鮮やかな薔薇色

 

ここでスペインとイタリアの生ハムがすごいと思うのは、、、赤身肉の色です!!

 

発色剤の亜硝酸塩を使用していないのに、赤身肉の部分は鮮やかな赤色(薔薇色)になっていることです!

 

脂肪の白(サシのマーブル)とのコントラストでおいしさをそそる色ですよね!

 

通常、赤身肉部分は保存中に褐変します。

 

そうなると、一気にまずそうに見えます。

 

これは、「ミオグロビン」という肉色素が酸化して起こる「メト化」と言う現象です。

 

もう少し詳しく言うと、「ミオグロビン」中の「ヘム鉄」が2価から3価に容易に自然酸化されて褐色になります。

 

ここで「ミオグロビン」とか「ヘム鉄」というのが出てきましたが、「ミオグロビン」は鉄を含む「ヘム」とそれを取り囲むように結合した球状たんぱく質の「グロビン」と言うたんぱく質でできています。

 

「ミオグロビン」はヘムに鉄原子が1個、血液の「ヘモグロビン」はヘムに鉄原子が4個納まっています。

 

「ヘモグロビン」は肺で「ヘム鉄」が酸素を受け取り鮮明な赤色の「オキシヘモグロビン」となり体内に酸素を運ぶ重要な役割をしていますよね。

 

「ミオグロビン」は赤身肉中で「オキシヘモグロビン」から酸素を受け取り「オキシミオグロビン」になり鮮やかな赤色になります。

 

「オキシミオグロビン」の酸素は筋肉の運動とかで消費されます。

 

スライスした牛肉は、一晩冷蔵庫中で空気にさらして置くと、「オキシミオグロビン」になって赤く発色します。

 

ちなみに食肉中の「ヘム鉄」は、鉄分を含む他の食物よりも体内へ効率的に吸収されます。

 

さらにビタミンCと一緒に摂取するとなお効率的に吸収されます。

 

脱線しました。。。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

 

繰り返しになりますが、

 

スペインとイタリアの生ハムは原木で熟成するものの、赤身肉は「メト化」の褐変が起こらず、鮮やかな赤(薔薇色)を維持しているのです。

 

しかも、1日とか2日の話ではありません。

 

数ヶ月の期間を置いても赤色が保持されているのです。

 

画像は「グルメソムリエ」さんから入手したスライスパック品です。

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

◇ハモンイベリコベジョータ44ヶ月熟成生ハムの色◇

 

関連記事: 【ハモンイベリコベジョータ44ヶ月熟成生ハムのレビュー】今日も匍匐前進

 

皮やラードで肉を保護しているということもありますが、、、

 

その理由は近年になって判明したそうで、ヘム中の鉄が肉中の亜鉛に置き換わるのだとか…。

 

昔の人は、そんなこと知らずに作っていたのです。。。

 

ちなみに、ハムやソーセージなど塩漬時に亜硝酸を添加したものは、亜硝酸の還元によって一酸化窒素が発生し、これがミオグロビンと結合したニトロシルミオグロビンによる赤色です。

 

 

✅詳しくお知りになりたい方は、コチラを見てください。
日本食肉研究会「食肉用語の解説食肉の色」

 

 

画像は「グルメソムリエ」さんから入手したスライスパック品です。

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

◇プロシュート24ヶ月熟成生ハムお徳用スライス品の色◇

 

 

関連記事: 【お徳用プロシュート24ヶ月熟成生ハムのレビュー】今日も匍匐前進

 

 

ちなみに昔の人は、現代のような亜硝酸塩ではなく、硝石を使っていました。(よく見つけたものです。。。)

 

これ、黒色火薬を作るときの原料のひとつですが…。

 

もしかしたら、火薬職人さんが自家製ハムを作ったら、偶然にも肉が赤く発色したとかかもしれません(^^)。

 

それから、亜硝酸還元菌なんていう微生物も居るんですよ。。。

 

 

続きのその2のページでは、「おいしさの芸術品」とも言うべき長期熟成生ハム「スペイン産ハモンセラーノとハモンイベリコ」、「イタリア産プロシート(プロシュット)・クルード」の風味(香り成分と味成分)を科学的に検証し、「驚くべきおいしさの秘密」を徹底解明した内容になります。

 

⇒【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その2】今日も匍匐前進

 

グルメソムリエさんの生ハム生活セットと公式ページ

 

グルメソムリエさんのご紹介

 

・「グルメソムリエ」さんは株式会社グルメミートワールドの通販のお店です。

 

・商品を単に輸入販売される会社ではなく生ハム作りの現地メーカーの原料、製造方法などを徹底的に調査した上で、安心、安全な食品を直接輸入販売されています。

 

・これらの長期熟成生ハムは「グルメソムリエ」さんからお手ごろ価格でスライスされた「お試し品」、「ミニ原木(骨なしブロック)」、「原木」が通販で入手できます。

 

・始めての方は、先ずは「お試しセット」や各種の「スライス品」などで食べ比べてみると良いと思います。

 

 

私の記事で恐縮ですが、各種の「スライス品」などについてはコチラの関連記事をご覧ください。

 

 

 

・次にお好みの生ハムが決まったら、お手ごろなミニ原木(骨なしブロック)で楽しむのも良いと思います。

 

・価格は1万円前後になります。

 

パルマハム24ヶ月熟成(ミニ原木・フィオッコ太め)イタリア産

パルマハム24ヶ月熟成(ミニ原木・フィオッコ太め)イタリア産

画像はグルメソムリエさんから掲載許可を頂いております。

 

 

ブルゴスの高級生ハムメーカー カサルバの事例

ハモンセラーノ JAMON SERRANO スペイン産の長期熟成生ハム

画像はグルメソムリエさんから掲載許可を頂いております。

 

 

グルメソムリエさんの生ハム生活セット

 

これからご紹介するのは、原木と生ハム台のハモネロ、専用ナイフ(大小)2本(刃:ステンレス鋼 柄:合成樹脂)、トング(ステンレス)、カバー(合成繊維)、手引書&読本、お手入れ油、カット法DVDなどがセットになった「グルメソムリエ」さんの「生ハム生活セット」です。

 

 

生ハムの原木では、先ずはグルメソムリエさんの「生ハム生活セット」で、生ハム原木に必要な物が揃ったセット商品を購入されるのをおすすめします。

 

 

日本での本場スペインの熟成生ハム普及に力を入れられている「グルメソムリエさん」の気合が感じ取れる商品です。

 

熟成生ハムは、やはり原木からのスライスしたてが一番おいしいです!!

 

また、生食だけでなく脂肪の多い所はベーコンのような料理のお肉としても使えます。

 

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その1】今日も匍匐前進

◇「グルメソムリエ」さんのスペイン・生ハム生活セットの展示◇

 

「グルメソムリエ」さんはスペイン北部のブルゴスと南部のフレビスから冷凍コンテナ船で日本へ直輸入されています。

 

「グルメソムリエ」さんはただそれだけではありません!

①各生ハムメーカーに日本向けに特別オーダーして熟成を依頼している。

 

②グルメソムリエさんの生ハム専任プロが、日本向けに直接熟成庫から選りすぐりの原木を選別している。

 

③日本に着いた商品は、生ハムのプロが原木の規格と肉質を1本1本確認してお客様の要望に合わせた発送している。 (お客様からの原木の大小、柔らかめ、脂肪が多い少ないなどのご要望を個々にお応えしている。)

 

④「グルメソムリエ」さんは単に輸入販売されているワケではなく、食肉の良し悪しを見極められる生粋のお肉屋さんです。

 

⑤お客様からの質問は、食肉のプロが直接お答えすることができる。

 

やはりこの手の食品を購入するときは、信頼できる専門性の高いお店に注文することで安心感が得られます。

 

で、「グルメソムリエ」さんの原木・「生ハム生活セット」ですが、10万円前後の品物だけではありません。

 

「生ハム生活セット」には、ハモネロ(フビレス)、専用ナイフ(大小)2本、トング、カバー、手引書&読本、お手入れ油、カット法DVDなどの便利グッズがセットになっています。

 

 

こちらは、例としてご紹介する後ろ脚の生ハムで、《生ハム生活セット》のハモネロ(木)、ナイフ(刃:ステンレス鋼 柄:合成樹脂 )、トング(ステンレス)、解説書等が付属。

 

価格は、三万円前後です。

 

生ハム生活セット

【送料無料】16ヶ月熟成ハモンセラーノ骨付生ハム原木レセルバ《生ハム生活セット》

画像はグルメソムリエさんから掲載許可を頂いております。

 

[PR]楽天市場・グルメソムリエさんの生ハム生活セット公式ページ

 

 

そもそも生ハムは保存食、、、。

 

先ずは、日本でのご家庭での保存方法を心配されると思います。

 

本場のおいしい原木生ハムをいつでも食べられるようにするのは、保管に多少の手間は必要です。(^^ゞ

 

失敗したと思わないように「グルメソムリエ」さんの手引書&読本をよく読むことが原則ですが、

 

予備知識としては、、、

 

豚脂の融点は33~46℃です。

 

ですから、暑い部屋に置いておくと脂肪が柔らかくなり、ナイフでスライスするときに脂が溶け出します。

 

窓越しの直射日光も気を付けて、専用のオイルを塗ってカビと酸化を防ぎ専用のカバーで覆うことも大事です。

 

できるだけ高温多湿や極端な乾燥、温度差と湿度差の少ないところに置くのが理想的なのですが、、、

 

日常的に湿度が高くなる可能性がある部屋だと、生ハム表面が湿気を吸っててカビが生える可能性が大です。

 

また、エアコンの風が直接あたるような場所は避けて急激な乾燥防ぐことも大事です。

 

乾燥が激しいとせっかくの原木がカピカピになったり、ひび割れが起こる場合もあります。

 

 

あとは、エンゲル係数が瞬間的に高くなりますが(笑)、思いっ切りがあれば、スペイン本場の熟成生ハムがしばらくの間、毎日いつでも食べられる幸せな人になれると思います。

 

・「グルメソムリエ」さん公式ページでは、すごく丁寧に説明されています。

 

・現地メーカーや製法などについての情報や動画もあります。

 

・様々な料理への利用方法の紹介もあります。

 

・熟成生ハム原木のご購入は、品質に信頼がおける「グルメソムリエ」さんが選ばれた原木をおすすめします。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

 

・また、「グルメソムリエ」さんでは、毎月29日の前後の数日間が★肉の日感謝デー!合言葉は「グルメソムリエ29」で特典があります。

 

・「グルメソムリエ」さんには、様々な輸入肉製品があります。お好みの商品を探し出されるのも楽しいかと思います。

 

・スペイン産ワインやスペイン、イタリア産のチーズなどのお取り扱いもあります。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

 

【おいしさを科学的に徹底解説・熟成生ハムのハモンセラーノ、ハモンイベリコ、プロシート・その2】に続く。

 

 

グルメソムリエさん・楽天市場店

 

グルメソムリエさんの楽天市場店から注文できます。

 

・「グルメソムリエ」さんでは、毎月29日の前後の数日間が★肉の日感謝デー!合言葉は「グルメソムリエ29」で5,000円、10,000円以上注文するとオマケの特典あり。

 

 

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